30年前のネパール
今住んでるアパートの大家さん。
アパートの隣の一軒家に1人で住んでるおじいちゃんなのだけど、色々気にかけてくれるから、毎日顔を出しに行っておしゃべりする。
そんな大家さん、70歳くらいかな。
カトマンズで生まれ育ち、昔のカトマンズはどうだったかって話をしてくれた。
40年程前、私が住んでるBaluwatarエリアは誰も知らなかったらしい。
そもそも畑だけで、名前もなかった。
その頃のカトマンズは緑が溢れていて、言葉にできない美しさだったって。
みんな伝統的なネワール料理を食べてたし、今ではネパールの代表食の一つで私の大好きなモモなんてなかったし、外食しても一食5円くらいだった。
そんな時代に今持ってる土地を買った。
今では立派な大使館エリアになってて相当儲かってるんだろうなー
何でその時代に土地を買ったのか。
実は大家さんは、ネパールで2番目にタクシーを走らせた人。
トヨタの白いカムリを5台買って、その駐車場のためにこの田んぼの中の土地を買ったんだって。
わーお。
ちなみにこのおじいちゃんはネパールで初めてイギリスからネパールを車で走った人なんだって。
聞いてお茶吹きそうになった。
まあこの話は置いておいて、
ネパールのリゾート観光ポカラは、30年程前はカトマンズから飛行機しか交通手段がなかった。
今は道ができて6時間走って行ける。
カトマンズ・ポカラ間の道は、日本スタンダードでは凸凹道かもしれないけど、ネパールの山道の中では整ってる方。
30年前、カトマンズから飛行機に乗れる人は限られていたので、言うまでもなくポカラは今ほどの観光地ではなかった。
大家さんは当時ユニセフで働いていて、オフィスがポカラにあったから半年に一度ほど飛行機に乗ってポカラに行ってたらしい。
その頃のポカラの美しさも、言葉で説明できるものではなかったって。
今のポカラですら私はその自然に感動したのだけど、昔を知ってる彼は今ではポカラを良いとは思えないらしい。
今ではホテルやゲストハウスがたくさんあるけど、その頃は村の家が建ってて、タカリ族の人々が農作業をしてて、山盛りの食事を3円ほどで食べれたって。
昔のカトマンズやポカラの景色を説明してる大家さんすごくいい顔してたな〜
今では建物がいっぱいで、排気ガスやダストの汚染がひどいカトマンズ。
緑がいっぱいで綺麗だったカトマンズが3、40年ほど前にあっただなんて全く想像できない。
日本もきっとそうだったよね。
発展するにつれて綺麗なものがなくなっていっちゃう。
仕方がないのかな。
車が入ってきてから数十年間はどこの国でも汚染は大きな問題になってたよね。
車の導入と一緒に汚染対策する国ってないよね、多分。
問題になると分かっていても、実際に人に影響があって問題が目に見えるまで何もしない。
あと何十年後にカトマンズはどうなってるかな。
空気は綺麗になっててほしいな。ゴミも減ってるといいな。
でももっと発展して、もっと建物が出来て、高層ビルでいっぱいになって周りの山が見えなくなったりして。
過去30年の発展は著しかった。でもこれから30年もさらに変わり続ける。
ネパールの魅力が消えてしまわないように、ネパールなりの変化を遂げていってほしいな。
ネパールに戻ってきて、あの頃のネパールの方がよかったな、なんて思いたくないよ。
あの頃もよかったけど、今の新しい顔をしたネパールもすごく良いね。
なんて言いたいな。
カトマンズの家からの景色。