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公立学校か私立学校、どっちを支援する?

途上国で公立学校ではなくて、私立学校を支援しています。

そんなことを聞いたら、みんなどう思う?

「なんで金持ちの生徒にわざわざ金を使うんだ。」そんな答えが返ってくるかな。

 

私もネパールに来る時に、ネパールのハイクラスの子ども達が行く私立学校と、農作業がメインとなる村での公立学校の差を見た。

施設の違いは一目瞭然、私立では授業は全て英語、全国統一試験の結果もかなりの差がある。

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だから村の公立学校を支援しよう、という結論に全く異議はなかった。

 

でも実際にネパールに住んで活動してみると、私立学校にもピンからキリまであることが分かってくる。

トップクラスの私立学校の学費はこんな感じ。

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ちなみにカトマンズで月収1−2万円が平均的なオフィスワーカー。

 

パソコンがずらりと並んで、

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実験室も日本の高校に負けてないし、

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teaching materialも溢れんばかりにある。

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(使いこなしているのかは別として。)

 

敷地内も緑いっぱいで、建物も綺麗。

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ネパールじゃないみたい。

 

でもネパールの私立学校全部をこの基準で考えるのは違うかな。

実際に上みたいな私立学校はカトマンズにいくつかあっても、割合的に言えば比較的小規模な中流階級の私立学校がほとんど。

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ここから私が言う私立学校は、中流階級の私立学校の話。

学費は高いところで1万円、500円程のところもある。

多くの学校は生徒の学力や家族のバックグラウンドに応じて割引を与えてたりする。(原価を高くして、全ての生徒に割引を与えているっていう学校もあるから、校長先生の言葉を単純に鵜呑みすることはできない。)

 

上流階級以外の私立学校は規模も小さめなのもあって、教師の給料は公立学校より低い学校がほとんど!

公立よりも私立のほうがお金がある?でも先生の給料は公立のほうが高い。

ネパール中の公立学校の運営を見れば、政府のお金は教育に十分に当てられていないことは分かる。でも教師にまずまずな給料を払うことができるお金を持っているのは確か。

政府が運営するteachers trainingに参加するのにも、公立の教員は無料だけど、私立の教員はお金を払わなければいけない。

 

他にも、学費を払えない村出身の子ども達に対しては学費も寮の宿泊費も全て無料で提供している学校もある。

これをできるのは、やっぱり学費を払える生徒がいるのが前提で、学校にお金があるからできること。

ちなみに公立学校では学費と教科書は無料。

入学費、試験受験料、制服などを含めて年間3000円くらい払う。

なんで定期テストを受けるために金を払わないといけないんだよ。

この3000円を払うのが大変な家族もたくさんいる。

 

公立学校の教員になるためには2種類の教員免許がある。

  • 1つ目は比較的簡単に取得でき、テンポラリー教員になる。
  • 2つ目を取得することでやっとパーマネント教員になれる。取得するのがかなり難しい。私の村の学校では13人中1人しか持っていない。これが取れると給料も上がる。

噂によると、これからはテンポラリーだけでは公立学校で教えられなくなって、パーマネントの資格を取るのもさらに難しくなるらしい。今のテンポラリーの先生は退職金をもらって学校から立ち去るんだとか。

能力のある質の高い人材を教員にするっていう政府の試みなんだろうけど、ただでさえ教員不足なのにこんなことしたら、教えられる人がいなくなるじゃない。

でもこれもネパールのことだから、噂だけで、本当にそうなるのはいつのことだか。

学校の先生も資格取らないとねーって言ってるだけでかなりマイペース。

 

多くの私立学校では教員免許は必須ではない。

もちろんあれば良いし、教員としての経験は採用に生きてくる。

でもそれがなくても校長先生の判断によってその学校で働けるかが決まる。

お金と時間をかけて教員免許を取るよりも、今すぐ収入源が得られれば良い。そんなこともあって、私立学校の方が公立学校よりも女性教員が多い。

大学の授業と両立してパートタイムのお仕事のため、または資格を取るまでに教員としての経験を積むために私立学校で働く人もいる。

 

こういったいろんな状況を踏まえた上でも、どうして私立学校の方が圧倒的にレベルが高いんだろう。

もちろんカトマンズ市内の公立学校でも生徒のことをしっかり考えてる先生たちがいてかなりレベルの高い学校もあるし、私立学校でもひどいマネージメントのところもあるから一概には言えないんだけどさ。

資格が必要な公立学校の先生は平均的な私立学校の先生よりも優れているはず。

でも私が見てきた私立の多くの先生たちは生徒のことをしっかり考えていて、生徒のために教えたいっていうのが伝わってくる。

「公立はダメだから私がここで最高の授業をこの子たちに教えるの」そんなことを言う先生もいた。

これは悪いプライドではないと思う。生徒のために自分の授業に誇りを持ってやってるのはすごくいいと思う。

 

高い給料をもらってるから良い授業をするわけでもない。

ただ私立学校はビジネスっていうのはあるよね。校長先生としては成果を出さなければ生徒は来ない。成果を出すためには先生が良くなければいけない。悪ければ首を切って新しい先生を採用する。

そういうリスクがあるから先生たちは必死に教える。

 

例えネパール中の公立学校の先生の給料を倍にしたとしても、多分何も変わらない。

職を失うリスクはないからね。だからなんとなーく教えて、お金をもらう、それで良い、って考えてる先生が特に村の方では多いんじゃないかって感じる。

 

公立よりも低い給料でも、素晴らしい授業をしてる先生が私立学校にたくさんいる。やっぱりやる気だよね。

教育を良くするために一緒に活動しよう、生徒たちのために!そんなことを言ったらやる気満々でものすごくコミットしてくれる先生たちがたくさんいる。

私立学校はお金があるから支援はいらない、そんな固定観念もちょっと見る目を変えたら、目指すところへの近道になるかもしれない。

何よりも大切なのは現場での協力者。

 

それでも公立の圧倒的な教育レベルの低さはどうにかしなければならないし、私立と公立との差が更に開いちゃうじゃないかって反論もあると思う。

私もやっぱり公立学校に手を貸さないと、とは思うんだけど、私立学校を完全に無視するのももったいない。

私立・公立に限らず、教育に対して理解のある、子どもたちを想って働いている素晴らしい先生達と協力して、結果的に私立も公立も含めたネパール中の教育を良くするのでもいいんじゃないかと思ってる。

 

たくさんの視点から物事を見るべきで、自分でもまだ見足りてないのは分かってるけど、とにかく教育支援はこうするべきだっていう決まりはないよね。

だからどんなアプローチでも長期的に続けていって変化が起こせればいいと思う。

 

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